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2026.1.30

円安が私たちの生活と投資に与える影響

円安とは?基礎知識を確認

円安は、みなさんの生活に直接関わる経済現象です。「ニュースでよく聞くけど、自分には関係なさそう」と感じる方もいるかもしれません。しかし、海外旅行の費用やiPhoneの値段、サブスクの料金など、身近なところに影響が出ています。

円安の仕組みを解説

円安とは、外国の通貨に対して日本円の価値が下がっている状態です。為替レートは「1ドル=○○円」という形で表示され、この数字が大きくなるほど円安ということになります。

たとえば、1ドル100円の時代と1ドル150円の現在を比べてみましょう。100ドルの商品を買う場合、かつては10,000円で済んでいたものが、今では15,000円必要になります。同じ商品なのに支払う金額が1.5倍に増えてしまったのです。

海外旅行での両替シーンをイメージするとわかりやすいでしょう。1ドル100円なら1万円で100ドルに交換できますが、1ドル150円だと同じ1万円で約67ドルしか手に入りません。つまり、円安が進んだことで「円の価値」が目に見えて減っているわけです。

円安になる理由

円安が進む主な要因は、日米の金利差です。アメリカでは2022年からインフレ対策として大幅な利上げを実施し、長期金利が4%台で推移してきました。一方、日本は長らく低金利政策を続けていたため、両国の金利に大きな開きが生じています。

この金利差があると、投資家は「より高い金利がもらえるドルで運用したい」と考えるようになります。その結果、円を売ってドルを買う動きが加速し、円安につながっているのです。

さらに、日本は原油や天然ガスなどエネルギー資源の多くを輸入に頼っています。輸入代金は外貨で支払うため、円を売って外貨を買う需要が常に発生しており、これも円安を後押しする要因となっています。

生活への具体的影響

円安は、すでに私たちの日常生活に大きな影響を与えています。「なんとなく生活が苦しくなった」と感じている方も多いのではないでしょうか。大学生のうちから経済の動きに関心を持ち、自分の資産や生活を守る意識を持つことが大切です。

物価上昇の実態

総務省が発表した2025年10月の消費者物価指数によると、総合指数は前年同月比で2.9%上昇しました。

円安が物価上昇につながるメカニズムはシンプルです。海外から輸入する原材料や商品のコストが上がれば、その分が販売価格に上乗せされます。日本の食料自給率はカロリーベースで約38%にとどまっており、多くの食品を輸入に頼っている現状があります。

特に値上がりが目立つのが身近な食品です。2025年10月時点で、米類は前年比で約49%上昇しました。コーヒー豆に至っては64%も上昇し、2020年と比べて価格が2.3倍になっています。

サブスクサービスの値上げも家計を圧迫しています。Netflixは2024年10月に料金を改定し、広告つきプランが790円から890円に、プレミアムプランは1,980円から2,290円へ値上げされました。このように、生活必需品や娯楽サービスなど、さまざまな分野で値上げが行われています。

海外旅行と留学費用

円安の影響を感じやすいのが、海外旅行や留学にかかる費用です。100ドルの食事を例に考えてみてください。1ドル100円なら1万円で済みますが、1ドル155円なら15,500円も必要になります。同じ体験なのに、支払う金額が1.5倍以上に膨らんでしまうのです。

航空券も値上がり傾向にあり、現地での宿泊費や交通費も円換算すると高額になります。10年前と比較して、海外旅行のハードルは確実に上がっています。

留学費用への影響はさらに深刻です。アメリカへの1年間の語学留学では、学費・滞在費・生活費などを合わせて300万〜500万円ほどが必要となるケースが一般的です。大学留学となると、学費だけで年間5万ドル(約775万円)を超える学校も珍しくありません。

アルバイト収入の価値

時給1,200円で5時間働けば6,000円が手に入ります。しかし、その6,000円で買えるものは以前より確実に減っています。これが「実質賃金の低下」と呼ばれる現象です。名目賃金(額面の給料)が変わらなくても、物価が上がれば購買力は下がってしまいます。

わかりやすい例として、牛丼の価格で考えてみましょう。牛丼1杯が400円だった時代には、時給1,200円で3杯分の価値がありました。しかし600円に値上がりすれば、同じ時給で2杯分の価値しかなくなります。労働時間あたりの「モノを買う力」が目に見えて減っているのです。

こうした状況に対応するには、まず家計管理の意識を持つことから始めましょう。収入と支出を把握し、無駄な出費を減らす習慣をつけることが重要です。同時に、時給の高いアルバイトを目指すのも有効な戦略といえます。

投資への影響を理解

NISAを活用した資産形成に興味を持っている方もいるのではないでしょうか。円安は生活にマイナスの影響を与える一方で、投資においてはプラスに働く場面もあります。

円安時代を「困難」と捉えるだけでなく、投資という視点から考えることで、将来に向けた備えのヒントが見えてきます。

外国株式への影響

円安の局面で米国株などの外国株式を保有していると、「為替差益」が得られるケースがあります。1ドル100円のときに100ドル分の株を買ったとしましょう。その後、株価が変わらなくても円安が進んで1ドル150円になれば、円に換算した評価額は1万円から1万5千円へと1.5倍に増えます。

つまり、株価の上昇と円安が同時に起これば「ダブル効果」で利益が大きくなる可能性があるのです。重要なのは、為替リスクは両方向に働くという点です。円高に振れれば、たとえ株価が上がっていても円換算の評価額は目減りしてしまいます。

ここ数年は海外へ手軽に投資できる投資信託が人気を集めています。海外資産に投資する際には、このように為替変動が収益に影響を与える点を押さえておきましょう。

外貨預金

外貨預金とは、ドルやユーロなどの外貨で預金する金融商品です。円預金より高い金利が期待できるうえ、為替差益を狙えます。

たとえば、1ドル150円のときに1,000ドルを預けたとしましょう。その後、1ドル170円に円安が進めば、円に戻したときに利益が生まれます。逆に1ドル130円に円高が進めば、為替差損が発生してしまいます。

外貨預金を検討する際には、為替手数料に注意が必要です。銀行によって異なりますが、往復で1ドルあたり1〜2円かかる場合もあり、せっかくの利益が手数料で削られてしまうケースも少なくありません。

まとめ

円安が進むと物価上昇で生活が苦しくなる一方、投資においてはチャンスにもなり得ます。大切なのは、この状況をただ嘆くのではなく、知識を身につけて賢く対応していく姿勢です。

生活を守りつつ資産を増やすためには、経済ニュースに触れる習慣をつけ、金融リテラシーを高めていくことが重要です。為替の動きや日銀の政策など、最初は難しく感じるかもしれません。しかし、継続して情報に触れることで少しずつ理解が深まっていきます。

できることから一歩ずつ行動することが大切です。20代のうちに金融知識と投資経験を積んでおけば、それは将来の大きな財産になるでしょう。

柴田 充輝
執筆者
柴田 充輝
厚生労働省や保険業界・不動産業界での勤務を通じて、社会保険や保険、不動産投資の実務を担当。FP1級と社会保険労務士資格を活かして、多くの家庭の家計見直しや資産運用に関するアドバイスを行っている。金融メディアを中心に、これまで1000記事以上の執筆実績あり。保有資格は1級ファイナンシャル・プランニング技能士(FP1級)、社会保険労務士、行政書士、宅地建物取引主任士など。