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2026.1.16

知っておきたい「レバレッジ」の仕組みと注意点。自分のリスク許容度を理解しよう

「レバレッジ投資」という言葉を聞いたことがある方もいるのではないでしょうか。レバレッジ投資は、まとまった資金がなくても、大きなリターンを狙える手法です。

効率よく資産を増やせる可能性がある一方で、損失も同じだけ膨らむリスクがあります。レバレッジ投資をする際には、メリットだけでなく注意点も理解しましょう。

本記事では、レバレッジの仕組みからメリット・デメリット、そして投資を始める前に知っておきたい「リスク許容度」の考え方まで、わかりやすく解説します。

レバレッジの仕組み

レバレッジとは、少ない資金で大きな金額を動かせる投資手法のことです。日本語では「てこ」と訳され、小さな力で重いものを持ち上げるように、少額の元手で大きなリターンを狙えるのが特徴となっています。

レバレッジを使えば、証拠金(担保として預けるお金)を元に、その何倍もの金額で取引ができます。たとえば、10万円の証拠金でレバレッジ10倍の取引をすると、100万円分の投資が可能になるわけです。具体的には、FX(外国為替証拠金取引)や信用取引、先物取引などで広く使われています。

一見すると、メリットを感じる仕組みに思えるかもしれません。しかし、利益が大きくなる反面、損失も同じ倍率で膨らむリスクがあります。この点を理解せずに手を出すと、想定外の損失を抱えてしまう可能性があるため、仕組みやリスクの大きさをしっかり把握することが大切です。

レバレッジ投資のメリット

安易なレバレッジ投資はおすすめしませんが、レバレッジ投資にはメリットがあるのも事実です。ここでは、レバレッジ投資の代表的なメリットを3つ紹介します。

少額資金で大きなリターンが期待できる

レバレッジの魅力は、自己資金が少なくても大きな利益を狙えることです。通常、10万円の投資で株価が10%上がれば、利益は1万円にとどまります。しかし、レバレッジ10倍で取引すれば、同じ値動きでも10万円の利益を得られる可能性があるのです。

アルバイト収入が主な大学生にとって、100万円以上の投資資金を貯めるのは簡単ではありません。レバレッジを使えば、10万円程度の資金でも大きな取引に参加できるため、投資を始めるハードルが下がります。ただし、これはあくまで「チャンスが広がる」という意味であり、必ず利益が出るわけではない点を忘れないでください。

資金効率が高い

レバレッジを使うと、手持ちの資金を効率的に運用できます。たとえば、50万円の貯金があった場合、全額を1つの投資に使うのではなく、10万円だけを証拠金として投資に回し、残りは生活費や別の投資に充てるといった使い方が可能です。

このように、レバレッジを活用すれば生活防衛資金を確保しつつ、効率よくリターンを狙えます。

短期間で利益を狙える

レバレッジ投資は、相場の小さな動きでも利益を出しやすいため、短期売買との相性が良いとされています。通常の投資では、数%の値動きで得られる利益は限定的。しかしレバレッジをかけていれば、わずかな価格変動でも大きなリターンにつながります。

たとえば、為替相場が1日で0.5%動いた場合、レバレッジ20倍なら10%相当の損益が発生します。このように、相場のちょっとした変動を利益に変えられるのがレバレッジ投資の特徴です。とはいえ、短期売買は相場を読む力や経験が求められるため、リスクが高い投資手法である点には留意しましょう。

レバレッジ投資のデメリットと注意点

レバレッジにはメリットがある一方で、見過ごせないリスクも存在します。利益が何倍にもなる可能性があるということは、損失も同じだけ膨らむ可能性があるということ。ここでは、レバレッジ投資に関して、必ず知っておきたい3つの注意点を解説します。

損失も拡大するリスクがある

レバレッジ投資で最も注意すべきなのは、損失が大きくなるリスクです。先ほどメリットとして「10倍のレバレッジで利益も10倍」と説明しましたが、これは損失にも同じことが当てはまります。

たとえば、10万円の証拠金でレバレッジ10倍の取引をしているとき、価格が10%下がると損失は10万円。つまり、元本がすべて消えてしまう計算になります。さらに相場が急変した場合は、元本を超える損失が発生するケースも珍しくありません。

追加証拠金(追証)が発生することがある

レバレッジ取引では、損失が一定の水準を超えると「追証(おいしょう)」と呼ばれる追加の証拠金を求められる場合があります。追証とは、証拠金維持率が基準を下回ったとき、追加で入金しなければならないお金のことです。

証拠金維持率とは、現在の証拠金が必要証拠金に対してどれくらいの割合かを示す数値です。

項目内容
追証が発生する条件証拠金維持率が基準(例:100%)を下回ったとき
入金期限通常、翌営業日〜2営業日以内
入金できない場合強制決済(ロスカット)が執行される

多くの証券会社では、この維持率が一定以下になると追証が発生し、期限内に入金できないと保有しているポジションが強制的に決済されてしまいます。強制的に取引が終了し、損失が確定するため、事前のリスク管理は欠かせません。

精神的負担が大きい

レバレッジ投資では、値動きへの意識が高まりやすい傾向があります。少しの値動きで損益が大きく変わるため、常に相場が気になり、スマホを手放せなくなる人も少なくありません。

とくにポジションを持ったまま寝ている間に相場が急変するリスクは、ストレス要因になりえます。本当にレバレッジ投資が自分のリスク許容度に収まっているのか、慎重に判断しましょう。

投資を始める前に考えるべきこと

基本的にレバレッジ投資は投機性が強いため、多くの方にはおすすめしません。まずはレバレッジ投資ではなく、リスクをコントロールしやすい通常の投資を検討しましょう。ただし、この場合でも自分自身のリスク許容度を正しく把握する必要があります。

リスク許容度とは、投資で損失が出たときに「どこまでなら受け入れられるか」を示す指標のこと。リスク許容度を把握するために必要なポイントは、年齢、収入、資産状況、そして性格の4つです。

自分がどの程度のリスクに耐えられるかを知らないまま投資を始めると、想定外の損失でパニックになったり、生活に支障をきたしたりする恐れがあります。

大学生がリスク許容度をチェックする際に確認すべきポイントを、以下の表にまとめました。

チェック項目確認する内容
収入の安定性アルバイト収入は毎月安定しているか
生活費の把握1ヶ月に最低限必要な金額を把握しているか
貯金の余裕生活費3〜6ヶ月分の貯金を確保できているか
投資経験現物投資(レバレッジなしの投資)の経験はあるか
性格面損失が出ても冷静でいられるタイプか

どんなに資産に余裕があっても「株価が下がると心配で他のことが手につかない」という方には、リスク許容度を高く見積もるのは適していません。

投資に回すお金は、最悪ゼロになっても生活に影響がない「余裕資金」から出すのが大前提です。学費や家賃、食費など生活に必要なお金を投資に使うのは絶対に避けてください。また、損失の上限を事前に決めておくことも重要です。

大切なのは自分のリスク許容度に応じた投資をすること

投資で失敗しないために最も重要なのは、自分のリスク許容度に合った方法を選ぶことです。

リスク許容度は人によって異なり、向いている金融商品も変わります。また、年齢やライフイベントによって、適したポートフォリオの形も変化していくため、都度見直しすることが大切です。

一般的に若ければ若いほど、長期的な運用が可能となるため、リスクを取れると考えてよいでしょう。ただし、これは「レバレッジをかけるべき」という意味ではありません。

レバレッジ投資だけでなく、それぞれの投資手法にはメリットとデメリットがあります。しっかりと投資のリスクを理解したうえで、あなたのリスク許容度に適した方法を選択しましょう。

まとめ

レバレッジとは、少ない資金で大きな取引ができる「てこの原理」を活用した投資手法です。短期間で大きな利益を狙える一方で、同じだけ損失も拡大するリスクがあります。また、追加証拠金(追証)の発生や、常に相場が気になるという精神的負担も見過ごせません。

どのような手法においても、投資を始める前には、自分のリスク許容度を正しく把握することが重要です。生活費や貯金の余裕、性格面などを確認し、生活に影響のない余裕資金で行いましょう。

柴田 充輝
執筆者
柴田 充輝
厚生労働省や保険業界・不動産業界での勤務を通じて、社会保険や保険、不動産投資の実務を担当。FP1級と社会保険労務士資格を活かして、多くの家庭の家計見直しや資産運用に関するアドバイスを行っている。金融メディアを中心に、これまで1000記事以上の執筆実績あり。保有資格は1級ファイナンシャル・プランニング技能士(FP1級)、社会保険労務士、行政書士、宅地建物取引主任士など。