~いつまでに、いくら必要かを逆算する~
こんにちは。
これまでに「投資の基礎」「金融商品の種類」「自分に合ったスタイルやリスク感覚」などを学んできました。
ここでいよいよ、資産運用の重要なポイントである「ゴールの設定」について考えていきましょう。
資産運用を始める前に、「自分は何のために、いくら必要なのか」を決めていないと、
迷ったり、不安になったり、途中でやめたくなったりするものです。
ゴールを明確にすることは、運用の“迷子”にならないためのコンパスのようなもの。
この記事では、目的別に「必要なお金」を逆算しながら、具体的な目標の立て方を身につけていきます。
なぜゴール設定が必要なのか?
たとえば、「貯金をする」という行動も、目的が「旅行のため」と「老後のため」では、必要な金額も期間も変わってきます。
これは資産運用でも同じです。
「何のために」「いつまでに」「いくら必要か」が明確でなければ、投資のリスクや方法も選びようがありません。
つまり、運用とは「なんとなくお金を増やすこと」ではなく、「明確な目標に向かって、計画的にお金を育てていくこと」なのです。
資産運用の目的は人それぞれ
あなたにとって、資産運用の目的はどれに当てはまりますか? まずはざっくりでいいので、思い浮かべてみましょう。
よくある目的の例
- 数年後の一人暮らしや引越し資金
- 海外留学や長期旅行
- 社会人になってからのマイホーム頭金
- 結婚式・出産・教育費など将来のライフイベント
- 60代以降の老後資金
- いざというときの生活防衛資金
目的が違えば、当然お金を積み立てる期間や用意すべき金額も違います。
それによって、選ぶべき金融商品や運用スタイルも変わってくるのです。
ゴールの立て方:3ステップで逆算する
ここからは、実際にゴール設定を行うためのステップを解説します。
ステップ1:目的と期限を決める
まずは、「何に使いたいのか」「いつまでに必要か」を言葉にしてみましょう。
例1:25歳で一人暮らしを始めたい
例2:30歳で結婚式を挙げたい
例3:60歳までに老後資金1,500万円を準備したい
ここでは、「なんとなくお金が欲しい」という抽象的な状態から、「○年後に○万円必要」という具体的なゴールに変えることが大切です。具体的な数字に落とし込んで目標を設定すれば、「どの程度のリスクを取る必要があるのか」を把握できます。
これにより、必要以上のリスクを取らずに、投資と向き合えるのです。
ステップ2:必要な金額を見積もる
次に、その目標を実現するのに必要な金額を調べます。
ネットで相場を検索するだけでも、おおまかな金額がわかります。
例
- 一人暮らしスタート費用(家具・引越し含む):約50万円
- 結婚式の自己負担:平均100〜150万円
- 留学費用(半年):約200〜300万円
- 子どもの教育資金:総額で1,000万~1,500万円程度
- 老後のゆとりある生活資金:2,000万円程度
「まだ分からない…」という人は、まずは仮の金額で設定してみても構いません。実際にいくら発生するかは正確に把握できないうえに、そもそもライフイベントが発生するかも未知数です。「ざっくり、このくらいだろう」という検討をつけて、実際に動いていく中で、少しずつ調整していけばOKです。
ステップ3:月ごとの目標積立額を逆算する
最後に、「毎月いくら運用・貯蓄すればいいか?」を計算します。
計算式は以下の通りです。
毎月の目標額 =(必要な金額 − 現在の貯金)÷ 残りの月数
例:3年後に100万円必要で、現在の貯金が10万円ある場合
→(100万円 − 10万円)÷ 36ヶ月 = 月25,000円
この金額が、あなたの毎月の目標積立額です。
ここから「どうやってこの貯金額を捻出するか」を考えれば、無理なく現実的な資産形成ができます。「効率よく資産を増やすために、この金額の一部を運用できないか?」も考えると、自然と投資に関心が向くでしょう。
「貯金でいいのか?」「投資をすべきか?」の判断軸
ゴールの金額と期限が明確になったら、「どう貯めるか」「投資すべきか」の判断ができます。
以下は、一般的な判断基準です。
- 1年以内に使うお金:普通預金が基本
- 1〜3年以内:定期預金 や債券など、低リスクの運用
- 3年以上先:投資信託や株式などを検討する
つまり、目標が遠ければ遠いほど、投資でお金を増やす“時間の余裕”があるということです。特に、分散投資を意識すると、株式は時間の経過とともに価値が上昇する傾向にあります。
短期的に必要なお金は「守る」ために、長期的な目標に向けたお金は「育てる」ために使い分けましょう。
ゴールを持つことが「継続のカギ」になる
ここまで読んで「ちょっと面倒くさそう」と思った人もいるかもしれません。
ですが、ゴールがないまま資産運用を始めると、途中で不安になったり、「このままでいいのかな?」と迷いがちです。また、「とにかく資産を増やす!」という考えだと、必要以上にリスクを取って、結果的に資産を失ってしまう事態になりかねません。
逆に、「自分はこの目的のために、月1万円を積み立てている」と言える人は、多少の値動きにも動じずに続けることができます。目標が明確であれば、「自分のやるべきこと」を理解でき、夢や理想の実現のために能動的に動けるでしょう。
資産運用はマラソンと同じで、走る理由(=ゴール)がなければ、途中で止まりたくなるものです。
だからこそ、ゴールを持つことは、最大のモチベーション維持装置になるのです。
まとめ:資産運用の第一歩は「目的を数字にすること」
お金は、「なんとなく貯めよう」「なんとなく増やそう」ではうまくいきません。
本当にうまくいくのは、「いつまでに、いくら必要か」が言語化できている人です。
今日のポイントをおさらいすると
- 資産運用の目的を言語化しよう
- 使いたい時期と金額から月の目標を逆算しよう
- 投資と貯金は「目的の期限」で使い分けよう
- ゴールがある人は、運用を“続けやすくなる”
まずは1つでいいので、自分の未来の目標を言葉にしてみてください。そして、「〇年後までに〇万円を貯めたい」「そのためには、毎月〇円の貯金が必要」「〇%で運用すれば、必要な金額は〇円になる」など、具体的にシミュレーションをしてみましょう。
そこから逆算するだけで、資産運用は一気に「自分ごと」になります。
次回予告
次回は、「投資信託って何?仕組みと選び方をわかりやすく解説」をテーマに、NISAや長期投資でもよく使われる「投資信託」について、しくみから商品選びのコツまで丁寧に解説していきます。