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2025.7.16

【第4回】家計管理とライフプラン~あなたの未来を数字で描く~

こんにちは!
 今回のテーマは「家計管理とライフプラン」です。

これまでの記事では、金融の基本的な考え方や「投資って何?」という話をしてきました。しかし、実際に行動に移す前段階として「家計管理」の理解も欠かせません(赤字家計だと、そもそも投資に回すお金を用意できないですよね)。

「家計を把握すること」と「ライフプランを立てること」。難しく感じるかもしれませんが、これらは現在だけでなく、将来にわたって自分の生活を守るうえで欠かせません。

なぜ家計管理が資産形成の土台なのか?

「投資を始めたい」と思っても、手元にお金がなければできませんよね。
資産形成のスタートラインは「毎月どれだけお金が残るか」にかかっています。つまり、家計管理の基礎は「入ってきた以上に使わない」ことです。

また、家計管理は決してケチケチ節約することではなく、自分のお金の流れを“見える化”することです。

まず、こんな問いかけをしてみてください。

  • 毎月いくら収入があるのか
  • 固定費はいくら発生しているか
  • 何にいくら使っているか
  • どのくらい貯まっているか(資産はいくらか)

大学生の中でも、「実家暮らしか、一人暮らしか」「アルバイトをしているか、していないか」などによって状況はさまざまです。しかし、就職して社会人になると、これらをすべて自己管理しなければなりません。

大人になっても、お金で困っている人はたくさんいます。お金で困らない人生を歩むためにも、大学生の内から、基本的な金融リテラシーでもある「家計管理」の基礎を理解しましょう!

「使っていないのにお金が減る」現象の正体

家計簿をつけたことがある人は、どれほどいるでしょうか?「継続できなかった」という方もいるかもしれません。継続できなかった理由の多くは、「細かすぎて面倒だった」からではないでしょうか?

実は、家計管理に必要なのは「正確な記録」ではなく、「お金の流れの把握」です。

たとえば、以下の3つをざっくり把握するだけでも、支出管理は一気にラクになります。

収入アルバイトや仕送り、奨学金など毎月入ってくるお金
固定費家賃、通信費、サブスク、学費など、毎月決まって出ていくお金
変動費食費、交際費、日用品など、月によって変わるお金

収入と支出を把握し、「毎月確実に余るお金」を捻出できれば、それが投資や貯金に回せる資金になります。
 反対に、赤字ならいつまで経っても投資を始められず、経済的に苦しい立場から抜け出せない可能性があります。

知っておきたい「先取り貯蓄」

アルバイトをしている方は、ぜひ「先取り貯蓄」を実践してみてください。「先取り貯蓄」とは、収入が入ったらまず貯蓄分を取り分けて、残りのお金で生活する方法です。

「余ったお金を貯金する」ではなく「先に貯蓄する」ため、確実にお金を貯めるための強力な手法です。

先取り貯蓄の最大のメリットは「確実性」です。月末に余ったお金を貯金しようとすると、ついつい使ってしまって結局貯金できないという経験はありませんか?先取り貯蓄なら、収入が入った瞬間に貯蓄分を確保するため、「貯金できない」という事態を避けられます。

また、限られた予算内で生活することが習慣化されるため、自然と節約意識が身につきます。さらに、毎月一定額を貯蓄することで、将来の目標達成や緊急時の備えが着実に形成されていきます。

実践方法として効果的なのは「自動化」です。銀行の自動積立定期預金を利用すれば、アルバイトの給与日に、自動的に指定した金額が貯蓄口座に移されます。手間がかからず、貯蓄を忘れる心配がありません(仕送り日に合わせても構いません)。

ライフプランってなに?夢を「現実の計画」に変える

家計管理が「現在」今のお金のコントロールだとすれば、ライフプランは「未来」のためのお金の設計図です。

たとえば、あなたにはこんな未来の希望はありませんか?

  • 社会人になったら一人暮らししたい
  • マイホームを持ちたい
  • 子どもを育てながら楽しく暮らしたい
  • 海外留学や起業にもチャレンジしたい

これらを実現するには、「お金」と「タイミング」を意識する必要がありります。「いつまでも、いくら用意すればよいのか」という具体的な数字目標を立てて、実現するための方法を実践しなければ、「夢のまま」で終わってしまうでしょう。

そこで大切なのが、「目標を数値化すること」。
 たとえば、「30歳でマイホームを買いたい」と思ったら、頭金に必要な金額を調べ、そこから逆算して毎月いくら貯めればいいかを算出しましょう。

この作業が、「夢を現実に変えるライフプラン」です。実際に目標を立てて、実現するための対策を考えるだけでも、金融リテラシーの向上につながります。

実際にやってみよう:あなたの5年後を逆算してみる

想像してみてください。

5年後、あなたは社会人2~4年目くらいで、収入も安定し始めている頃でしょう。

ここで、以下のような目標を立てたとします。

  • 一人暮らしをスタートしたい
  • 初めての海外旅行に20万円使いたい
  • 自動車の免許+車の購入に50万円使いたい

合計で100万円のお金が必要になる、という前提でシミュレーションします。5年間で100万円を準備するには、年間で20万円、月に約1万7,000円ずつ貯める必要があります。このように、数字で把握すれば「目標を実現するための方法」を具体的に考えられます。

たとえば、「1万円ならなんとかなるけど、1万7,000円はきつい」と感じるのであれば、以下のようなアクションが考えられるでしょう。

  • 毎月コンビニの支出を見直す
  • 不要なサブスクを解約する
  • 価値を感じない飲み会には行かない
  • 浪費をできるだけ抑える

このように、実際の行動に変えていけば、描いた目標が現実的に手が届く未来になるのです。

お金の計画を「視える化」するには?

ライフプランは、一度作って終わりではありません。
 環境や価値観の変化に合わせて、何度でも書き直せばいいものです。

また、今では家計管理やライフプランを助ける便利な無料ツールやアプリも充実しています。

【家計管理アプリ】

例:マネーフォワードME、Zaimなど

→ 自動連携で手間なく支出を可視化できる

【ライフプランシミュレーター】

例:証券会社や金融庁のサイト

→ 将来の支出や資産を年齢ごとにシミュレーションできる

これらを使えば、手間をかけずに家計管理やライフプランの作成を行えます。特に、家計簿アプリにクレジットカードや銀行口座を紐づければ、紙で家計簿を作成する必要はありません。

ライフプランシミュレーターに関しても、「いつまでに、いくら貯めたい」という目標がわかれば、簡単にシミュレーションできます。これらの便利なツールを活用すれば、数字が苦手な人でも「なんとなく不安」を「ちゃんと見える安心」に変えることができます。

投資は「余ったお金」ではなく「目的のあるお金」で

ここまで来ると、「投資のタイミングって、毎月お金が余ったとき?」と考えるかもしれません。

実際には、投資は「余ったお金」ではなく、「未来の目的のためのお金」で行うべきものです。普段の家計管理を通じて「毎月〇円を投資に回せる」という状況を把握しましょう。

当面の生活を防衛するためのお金は別途確保し、自分のリスクの許容度を把握したうえで、実現可能かどうかを客観的に分析しましょう。

まとめ:未来のために、数字で考える習慣をつけよう

家計管理やライフプランは、決して堅苦しい作業ではありません。
むしろ、自分の未来に希望を持ち、実現方法を具体化するために欠かせないプロセスです。自分の理想を実現し、人生をより良くするための手段を具体化できるため、ぜひ楽しみながら取り組んでみましょう!

次回予告

次回は、「金融商品の全体像 ~株・債券・投資信託・不動産・保険」をテーマに、
 「世の中にどんなお金の選択肢があるのか?」をわかりやすくマッピングしていきます!

柴田 充輝
執筆者
柴田 充輝
厚生労働省や保険業界・不動産業界での勤務を通じて、社会保険や保険、不動産投資の実務を担当。FP1級と社会保険労務士資格を活かして、多くの家庭の家計見直しや資産運用に関するアドバイスを行っている。金融メディアを中心に、これまで1000記事以上の執筆実績あり。保有資格は1級ファイナンシャル・プランニング技能士(FP1級)、社会保険労務士、行政書士、宅地建物取引主任士など。