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2025.7.17

【第5回】金融商品の全体像

~株・債券・投資信託・不動産・保険~

こんにちは!
ここまでの記事では、お金の使い方や投資の基本、ライフプランの考え方など、資産形成の土台をつくってきました。

今回は、いよいよ「金融商品って、実際にはどんな種類があるの?」という疑問に答える回です。
名前は聞いたことがあるけど、違いがよくわからない。自分にどれが合っているか判断できない。
そんなあなたのために、目的・メリット・リスク・手間の違いを明確に解説していきます。

金融商品とは? ― お金の「置き場所」をどう選ぶか

金融商品とは、簡単に言えば「お金の働かせ方の選択肢」です。

  • 銀行に預ける
  • 株を買う
  • 債券を買う
  • 投資信託を積み立てる
  • 保険に加入する

これらはすべて、「お金をどう活かすか」という選択の一部です。「積極的に増やしたいか」「万が一に備えたいのか」によって、選択すべき金融商品は異なります。

ここからは、代表的な5つの金融商品について、それぞれの特徴と「どんな人に向いているか」「どのくらい時間がかかるか」も含めて説明していきます。

株式:企業の一部を「買う」という選択

あなたが株を買うということは、その企業の一部を保有することを意味します。

株を保有すると、株価の上昇や配当金、株主優待などの利益を得られます。
ただし、金融商品の中でも値動きが激しい傾向にあるため、投資対象の企業や経済動向をこまめにチェックする必要があるという手間も伴います。

メリット・高いリターンが期待できる
・配当や優待などを受け取れるケースがある
デメリット・値動きが大きく、短期では損失の可能性も
・情報収集、分析に手間がかかる
向いている人・経済や企業分析が好きな人
・自分で判断して運用を進めたい人

債券:国や企業に「お金を貸す」という選択

債券とは、国や企業にお金を貸して利息をもらい、満期に元本を返してもらうという仕組みの金融商品です。

価格の変動は小さく、リスクも比較的低め。一度購入すれば、基本的には放置でも運用が可能です。

メリット・安定した利息収入を得られる
・値動きが少なく、精神的負担が軽い
デメリット・インフレに弱く、実質的なリターンが低くなりがち
・利回りは株式よりも控えめ
向いている人・安全志向で、リスクを抑えたい人

投資信託:プロに運用を「任せる」という選択

投資信託は、投資家から集めたお金を、プロの運用者が代わりに運用してくれる商品です。
少額から始められ、分散投資もできるため、初心者や忙しい人に最も向いている金融商品の一つです。

NISAの「つみたて投資枠」または「成長投資枠」で積立設定をすれば、ほぼ自動で資産形成が進むため、日常の管理はほとんど不要です。

メリット・手間をかけずに長期運用できる
・少額、分散でリスクを抑えられる
デメリット・手数料がかかる(商品による)
・種類が多く、商品の選定が煩雑
向いている人・投資初心者の人
・学業や仕事で忙しい人
・少額からコツコツ始めたい人

不動産:実物資産にお金を「変える」という選択

不動産投資は、マンションやアパートなどを購入し、家賃収入を得たり、売却益を狙ったりする方法です。

また、J-REITや不動産クラウドファンディングといった、小口で始められる間接的な不動産投資も登場しています。

一方で、実物不動産は物件選び・契約・管理などが必要で、最も時間と手間がかかる投資法です。

メリット・家賃収入で定期的に現金が入る
・実物資産なので安心感がある
・レバレッジ(借入)で資産を増やすことも可能
デメリット・初期費用が大きい
・空室リスクや修繕リスク、管理の手間がある
・借金が残る可能性がある
向いている人・時間と資金に余裕がある人
・長期的に安定収入を得たい人
・物件選びや交渉に積極的に関わりたい人

保険:未来のリスクに「備える」という選択

保険は、「万が一への備え」を目的とした商品です。貯蓄型の保険商品(個人年金保険や終身保険)などは、資産形成の一部として活用できます。

契約時に比較・検討が必要ですが、それ以降は保険料を支払いながら自動的に資金が積み上がっていくため、手間がかからない金融商品とも言えます。

メリット・万が一の保障と資産形成を同時に叶える
・契約後は放置でOK
デメリット・解約すると元本割れの可能性あり
・リターンは控えめ
向いている人・投資に抵抗がある人
・忙しくて日常的に運用の時間が取れない人
・リスクを最小限に抑えたい人

ただし、基本的に保険の本質は「起こる確率は低いが、もし起こったら自分や家族の生活に備えるもの」です。独身のうちは保険は不要で、結婚後も共働き世帯であれば不要であるケースがほとんどです。

貯蓄性のある保険は資産形成の手段になり得ますが、保険会社を介して運用する分、多くの手数料を負担しなければなりません。

そのため、保険は資産形成の手段として見るのではなく、「保険は保険」「投資は投資」と、切り離して考えましょう。

まとめ:自分の時間と目的に合った「お金の置き場所」を見つけよう

金融商品は、「どれが正解」というものではありません。
大切なのは、「自分のライフスタイル・目標・性格」に合ったものを選ぶことです。

  • 忙しい人には、投資信託や保険が合う可能性が高い
  • 経済が好きで時間をかけられるなら、株式が向いている可能性が高い
  • リスクを抑えたいなら、債券が向いている可能性が高い

金融商品ごとに、期待リターンやリスクの大きさは異なります。自分のペースで無理なく取り組める金融商品を選ぶことが、長期的に資産形成をするために欠かせません

興味がある金融商品があれば、まずは少額から試してみましょう。実際の投資経験を通じて、自分に向いているかどうかを判断できるようになります。

次回予告

次回は、「短期投資と長期投資、どちらが自分に合っている?」をテーマに、
性格や目的に応じた投資スタイルを見つけていく“診断的コンテンツ”をお届けします!

柴田 充輝
執筆者
柴田 充輝
厚生労働省や保険業界・不動産業界での勤務を通じて、社会保険や保険、不動産投資の実務を担当。FP1級と社会保険労務士資格を活かして、多くの家庭の家計見直しや資産運用に関するアドバイスを行っている。金融メディアを中心に、これまで1000記事以上の執筆実績あり。保有資格は1級ファイナンシャル・プランニング技能士(FP1級)、社会保険労務士、行政書士、宅地建物取引主任士など。