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2025.7.17

【第6回】短期投資と長期投資、どちらが自分に合っている?

~投資スタイルの選び方を性格と目的から見極める~

こんにちは!
これまでに、さまざまな金融商品やお金の使い方を学んできましたが、いよいよ今回から「あなたに合った投資スタイルとは?」というテーマに入っていきます。

まず最初に考えるべきは、投資には大きく分けて“短期”と“長期”の2つのスタイルがあるということです。
どちらにもメリットとデメリットがあり、正解は一つではありません。

この記事では、短期投資と長期投資の違いを丁寧に解説しながら、あなたの性格やライフスタイルに合った運用スタイルのヒントをお届けします。

短期投資と長期投資、何が違うの?

まずは、それぞれの基本的な特徴を整理しておきましょう。

◆ 短期投資とは?

「短期」に明確な定義はありません。わかりやすくイメージするなら、数日〜数ヶ月のうちに売買を繰り返し、値動きの差で利益を得る投資方法が挙げられます。

「デイトレード」や「スイングトレード」などと呼ばれることもあります。

短期投資では、短期間で利益を得ることを目指すため、ギャンブルに近い方法になるケースも少なくありません。

◆ 長期投資とは?

長期投資は、数年〜数十年単位で資産を保有し、成長を待つスタイルです。たとえば、「将来の教育資金を用意したい」「老後資金を計画的に用意したい」という理由で行う場合、運用期間が数十年スパンになるため、必然的に長期投資になります。

長期投資では、以前に解説した「複利」を活かしやすいメリットがあります。また、一般的に運用期間が長いほど安定的にリターンを得られると考えられているため、大学生の皆さんは「長期投資」を意識してほしいと思います。

短期と長期、どちらが儲かる?

この問いはよく聞かれますが、結論から言うと「人による」です。金融知識が豊富で判断力に優れている人は、短期投資のほうが向いているかもしれません。

一方で、リスクを抑えつつじっくり資産形成をしたいと考えている方は、長期投資の方が好相性でしょう。
このように、投資を通じて得られるリターンは経済状況によるのはもちろん、人間の「知識・経験・性格・感情」などによって大きく左右されるのです。

短期投資は当たれば大きな利益が得られる一方で、判断を間違えると短期間で大きく損をすることもあります。実際に、FXや暗号資産の取引で、借金を抱えてしまう人もいます。


一方、長期投資は大きなリターンを狙いにくい代わりに、安定的かつ着実に資産が育つことが多いです。多くの方にとって、短期投資よりも長期投資のほうが、資産形成をするうえでは有利なのです。

そのため、これから投資を始める人や時間のない大学生には、リスクと時間のバランスがとれた長期投資からスタートするのが現実的と言えるでしょう。

自分に合ったスタイルを見つけるには?

ここで、あなた自身の投資スタイルを見つけるために、いくつかの視点から考えてみましょう。

◆ 性格に合わせて選ぶ

  • 「じっくり考えるのが苦手」→ 短期投資向き。ただし、感情に流されやすい人は要注意。
  • 「慎重に判断したい」「コツコツ型の性格」→ 長期投資向き。地道に続けることにストレスを感じにくい。

◆ ライフスタイルに合わせて選ぶ

  • 学業やアルバイトで忙しく、日中に画面を見る余裕がない→ 長期投資の方が圧倒的に続けやすい
  • 自由な時間が比較的多く、経済ニュースを追うのが好き→ 短期投資にも挑戦してみる価値あり

◆ 金銭感覚に合わせて選ぶ

  • 少額でもリターンが欲しい→ 短期投資。ただし、リスク管理は必須
  • 将来に向けて着実にお金を育てたい→ 長期投資。目的に応じてNISAの「つみたて投資枠」やiDeCoなどの制度も活用

短期投資を選ぶ場合に意識してほしいこと

短期投資は、株価や為替などの値動きによって、短期間で利益を狙う投資スタイルです。
ただし、成功するためには“センス”ではなく、一貫したルールと徹底した自己管理が求められます。また、経済状況は様々な要因で変動するため、「運」の要素も密接にかかわってきます。

◆ 判断基準(こんな人に向いている)

  • 数千円〜数万円単位の価格変動に冷静でいられる
  • 自分のルールを守れる強い意思がある
  • 相場を見る時間がある(最低1日30分〜1時間以上)
  • 失敗しても「次に活かす」前向きさがある

◆ 注意点

  • 時間と集中力を奪われやすい:画面を気にしすぎると学業や仕事に影響が出ます。
  • 感情に左右されやすい:特に初心者は、上がると欲が出て、下がると不安で手放すなどのパターンに陥りがちです。
  • ルール無視が命取りになる:感情的な売買を避けるには、事前に損切りや利確の基準を明確にしておくことが必須です。

◆ 意識しておきたいこと

  • 少額で「自分を試す」ステップから始めましょう。いきなり大金を入れるのではなく、まずは感情との向き合い方を体感してください。
  • 「勝つこと」ではなく「負けないこと」を目標に。小さく負けて、大きく勝つ。その積み重ねが資産になります。
  • 生活に支障が出るようなら撤退も選択肢。投資は人生の一部。心の健康を犠牲にしてまで行うべきではありません。
  • 短期で取引しているプロのトレーダーがいる点に留意しましょう。多くの方よりも情報収集が早く、機械的に取引をしているプロと同じ土俵で戦わなくてはなりません。

長期投資を選ぶ場合に意識してほしいこと

長期投資は、少しずつ積み立てながら、10年・20年というスパンで資産を増やしていくスタイルです。
地味に思われがちですが、再現性が高く、感情に振り回されにくい投資法として、多くの成功者が実践しています。

◆ 判断基準(こんな人に向いている)

  • すぐに結果が出なくても、コツコツ続けられる
  • 経済ニュースに常に目を向けるのは苦手
  • 勉強や仕事など、他に集中したいことがある
  • 将来の安心のために“習慣としての投資”をしたい

◆ 注意点

  • “放置でOK”と“完全放置”は違う:年に1回程度は見直しを。積み立て先が目標に合っているかを確認しましょう。
  • 中途解約・売却は複利の敵:時間をかけて効果を出す投資なので、「続ける力」が最も重要です。
  • インフレや生活環境の変化も考慮する:長期だからこそ、時代の流れや自分の環境に合わせて微調整できる柔軟さも大切です。

◆ 意識しておきたいこと

  • 具体的な目標を持つ:「老後」や「将来の安心」ではなく、「30歳までに300万円」など数値で明確化しましょう。
  • 一時的な下落は“成長の途中”と理解する:毎月の積立は、下がっている時こそ安く買えるチャンスでもあります。
  • 投資を“意思”ではなく“習慣と仕組み”に任せる:自動積立・定期見直しなど、自然に続けられる仕組み化が成功の鍵です。
  • 運用期間を長く確保するほど、報われやすい特徴があります。運用しているお金を引き出す必要性がなければ、「運用し続ける」ことが大切です。

まとめ:あなたの「性格と生活」に合った投資スタイルを選ぼう

短期か長期か。
それは、「どちらが儲かるか」ではなく、「どちらが自分の生活に合っていて、無理なく続けられるか」を基準に選ぶことが大切です。

  • 短期投資は「判断力・自制心・時間」が必要な実践型
  • 長期投資は「継続力・習慣化・計画性」が求められる積立型

どちらが優れているかではなく、「自分が選べる生活スタイルかどうか」をぜひ意識してみてください。

ただし、多くの方にとって向いているのは長期投資です。短期的に利益を得られる短期投資には夢がありますが、その分リスクが大きく、失敗したときのダメージが大きい点を忘れてはいけません。

次回予告

次回は、「あなたのリスク許容度を診断してみよう」をテーマに、
実際に簡単な診断テストを通じて、投資スタイルの方向性をさらに深掘りしていきます!

柴田 充輝
執筆者
柴田 充輝
厚生労働省や保険業界・不動産業界での勤務を通じて、社会保険や保険、不動産投資の実務を担当。FP1級と社会保険労務士資格を活かして、多くの家庭の家計見直しや資産運用に関するアドバイスを行っている。金融メディアを中心に、これまで1000記事以上の執筆実績あり。保有資格は1級ファイナンシャル・プランニング技能士(FP1級)、社会保険労務士、行政書士、宅地建物取引主任士など。