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2025.7.16

【第2回】貯金と投資の違いとは?~「増やす」ってどういうこと? ~

こんにちは!
 今回は「貯金と投資の違い」について解説します。
 お金を増やしたいと思ったとき、多くの人が「貯金を増やす」ことを考えますが、それと「投資で増やす」ことは目的や性質が異なります。

貯金とは何か?なぜ安心感があるのか?

貯金とは、銀行の口座にお金を預けて、必要なときに引き出せるようにしておくお金の管理方法です。大学生の皆さんも、銀行やコンビニのATMでお金を預けたり、引き出したりしたことがありますよね。

貯金の目的は「お金を失わない」ことであり、いわばお金を“守る”行動です。銀行に預けておけば元本は保証され、少額とはいえ利息もつきます。また、「預金保険制度」という仕組みにより、万が一銀行が破綻しても、1,000万円とその利息までは守られます。

しかし、ここで1つ問題があります。現在の普通預金の金利は、0.2%程度(銀行によって差はありますが、誤差の範囲です)。100万円を1年間預けていても、利息はわずか2,000円程度です。ランチを2~3回楽しんだら、すぐになくなってしまうレベルの金額です。

投資とは何か?お金に働いてもらうという考え方

一方、投資とは、自分のお金を企業や社会に預けて将来的なリターン(利益)を得ようとする行動です。たとえば、企業の株式を購入すると、値上がりによる利益や配当金などの利益を得られる可能性があります。

投資は、一般的に「お金を寝かせるのではなく、働かせること」。つまり、自分が時間を使って働かなくても、お金そのものが経済活動に参加して利益を生むようにするという発想です。

ただし、投資は貯金とは異なり「リスク」が伴います。増える可能性がある一方で、損をしてしまう可能性があります。

よくある誤解:「投資=ギャンブル」ではない

投資は損をしてしまう可能性があるため、「投資って、怖い」「損をしたらどうしよう」という不安を抱えてしまうのも無理はありません。大切なお金が減ってしまうと、経済的なダメージだけでなく、精神的なダメージも受けるものです。

しかし、投資に対して以下のような誤解をしている人が多いのも事実です。

  • 投資は一か八かのギャンブルである
  • 損をしたら一発でアウトになる
  • 知識がある人しかやってはいけない

基本的に、投資は国や企業の経済活動に出資して「今よりも暮らしやすい環境」や、より質の高い商品やサービスの開発を支援するために行うものです。

たとえば、企業の株式を購入(投資)して企業が社会に役立つ商品やサービスを開発すれば、投資したお金が世の中の役に立っていますね。自分が儲けるために行う「ギャンブル」とは違う、というイメージがつくのではないでしょうか。

実際には、投資はリスクとリターンのバランスをコントロールしながら行うものです。また、投資に関する知識がない人でも、気軽に始めることができます。

たとえば、投資信託という金融商品を活用すれば、運用を専門家に任せられます。少額から長期・分散・積立という“堅実な投資”を始められるため、大学生の皆さんも始めやすい方法といえるでしょう。

貯金と投資は、目的によって使い分けるのが正解

ここで大切なのは、「貯金が悪い」「投資が正しい」という二元論ではありません。どちらも必要であり、使い分けることが重要なのです。

具体的にはこんな考え方ができます。

 使い方特徴
貯金近い将来(半年以内〜1年以内)に使うお金の置き場所・元本が保証されている
・利息が非常に低い
・安心感はあるが、お金はほとんど増えない
・インフレによって価値が目減りする可能性がある
投資当面使う予定がないお金の置き場所・商品によってリターンは異なるが、長期的には増やせる可能性が高い
・経済成長の恩恵を受けられる
・インフレ対策になる
・元本割れのリスクがある

投資には、元本割れのリスクがある点をお伝えしました。普段の生活費や近い将来に使う予定があるお金は、減ってしまうと困ります。そのため、貯金に回すべきです。

一方で、十分な貯金ができたら、一部を投資に回しましょう。すべてのお金を貯金すると、「増やせるチャンスがあるのに、逃している」ため、もったいない状況といえます。

大学生のうちは、まだまだ投資をするほどの余裕がないかもしれません。しかし、最近は100円という少額から投資を始めることができます。

100円の投資元本なら、仮に損失が出ても数円~数十円程度で済みます。実生活に悪影響が出るリスクはないため、「お試し感覚」で始めてみてはいかがでしょうか。

まとめ:お金は「守る」だけじゃなく「育てる」ことも大事

貯金は、当面の生活を守るために大切です。でも、貯金だけで効率よくお金を増やすことは難しく、物価が上がれば実質的に減ってしまうリスクがある点は理解しておきましょう。

一方で、投資は損をしてしまう可能性がある一方で、正しく理解して実践すれば将来のあなたの味方になります。資産を守るうえで、投資に関する知識は欠かせないものとなっていくでしょう。

今すぐに、すべてを理解する必要はありません。まずは「貯金と投資の違い」「投資は悪いことではない」という視点を持つことから始めてみましょう。

次回予告

次回は、インフレと複利のしくみについて、「なぜ若いうちからお金を育てることが大事なのか」をテーマに詳しく解説します。

柴田 充輝
執筆者
柴田 充輝
厚生労働省や保険業界・不動産業界での勤務を通じて、社会保険や保険、不動産投資の実務を担当。FP1級と社会保険労務士資格を活かして、多くの家庭の家計見直しや資産運用に関するアドバイスを行っている。金融メディアを中心に、これまで1000記事以上の執筆実績あり。保有資格は1級ファイナンシャル・プランニング技能士(FP1級)、社会保険労務士、行政書士、宅地建物取引主任士など。